学生目線で見た物理工学科の特徴
- 「世界最先端」を身近に
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量子コンピュータは近年世界的に注目を集める新しいコンピューティングの方式であり、物理工学科はその研究拠点として世界で最も注目される場の一つです。また、物理工学科は他の先端技術においても長年にわたり世界をリードしており、研究・教育の面で非常に充実した環境が整っています。
学部4年生時の卒業研究では、このような優れた環境のもと、量子コンピュータをはじめとする最先端の実験的研究に携わることができます。世界最前線で研究を続けてきた先生方や、一足先にそのレベルに足を踏み入れた先輩と、研究を通じて対等に対話する関係を築く機会を学部時代から得られるのが物理工学科の強みです。
- カリキュラム
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学部2・3年時の物理工学科のカリキュラムは主に、基礎的な物理や数学に関する座学とそれに付随した演習の授業で構成されています。この時期には量子力学や統計力学、物性物理や量子情報など多くの分野に演習を通しながら触れることができるので、物理的な思考力や実践的な計算力を幅広く身につけることができます。また、工学実験のプログラムが用意されているので、座学で得た知識をもとに実用的なスキルや考察力を鍛えることもできます。さらに、同じく応用物理部門である計数工学科とは密接な関係があり、計数工学科の講義を受講することが推奨されています。ここでは、数値解析の実装手法をはじめとする数理的アプローチの基礎を学ぶことができます。
学部4年時には、前述のとおり卒業研究に取り組みます。学部2・3年時に身に着けた物理力をもとに最先端の実験的課題に挑む、学部生活の集大成となるはずです。また、卒業研究は実験系の研究室で行われますが、希望者が理論系の研究室で理論研究に取り組むことができる授業もあります。
- 物工に来てよかったこと
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物理工学科に来てよかったことは、「物理学の理解を深め、最先端の研究に挑める環境」を手に入れられたことだと感じています。物理工学科には物理学への熱意にあふれた学生が集まり、講義の枠を超えて活発に議論し合える関係を築くことができます。こうした議論を通じて得られる学びは、物理学を深く理解するうえで大きな助けとなるでしょう。
また、前述のとおり、物理工学科では革新的な研究に取り組む機会も得られます。「学びを深め合う仲間」と「世界最先端の研究を行うための環境」の両方が揃う物理工学科は、まさに「物理学の理解を深め、最先端の研究に挑める環境」だと考えています。
進路を考えている(迷っている)新2年生へのメッセージ
進学選択は学部生活の中の大きな転機のうちの一つだと思います。ここで選んだ学科では2年半という短くない時間を過ごすことになるわけですから、まずは自身の興味を広く探索してみてください。興味のある学科の資料やホームページを読み漁るのもよいでしょうし、もし興味のある分野がはっきりしているのであれば、研究室に直接連絡をしてみるのもいいかもしれません。多くの研究室が手厚くサポートしてくれるはずです。どの学科を選んだとしてもその環境でベストを尽くせば有意義な学部生活になるので、ぜひ自分の選択に自信をもってください。
私の進学選択当時のことを振り返ると、進路にかなり悩んだことを思い出します。私は当時物理と情報にざっくりとした興味があり、そこを軸に関連した学科を調べていました。興味がドンピシャに決まっていなかった私にとってはどの学科も非常に魅力的に感じましたが、物理工学科のホームページにもある「世界を変えるアイデアはあるか」というフレーズには強烈に惹かれました。この問いかけの通り、物理工学科は新奇なアイデアをもとに世界を変える技術開発を進めてきた学科であり、新しい挑戦をしたい方には非常にお勧めです。新たな挑戦を求めて物理工学科に来た私も、現在は世界を変える技術である光量子コンピュータの根幹技術の実験的開発に取り組んでいます。最近では、私が開発に携わっている光量子コンピュータの商用化を理念に掲げた 物理工学科発のベンチャー企業、OptQC株式会社も立ち上がり、技術の実用化に向けた動きが加速しています。自らの研究が現実のものとなり、世界に影響を与え始めていることを実感しています。
最後ですが、物理が好きで新たな挑戦で未来を拓いていきたい方は、ぜひ物理工学科にいらしてください。まだ見ぬ最先端の物理の世界で、皆さんと会えることを楽しみにしています。