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物工PICKUP
工学部物理工学科OB:小林 海翔

卒業生からのメッセージ

物理工学科は、物性物理学や量子情報科学を舞台に、時代を越えて色褪せない基礎物理と、未来を形作る最先端の応用工学を探究しています。自然を理解し、科学を進化させるため、学修・研究へ真摯に向き合う世界最高の研鑽の場、それが物理工学科です。

2023年3月30日更新
写真:卒業生からのメッセージ2022年度 小林 海翔
大学院工学系研究科物理工学専攻
修士1年 小林海翔:2023年3月30日時点

学生目線で見る物理工学科

「物理的直観」を鍛える
物理工学科では、物理学の基本法則や演算規則の理解だけでなく、物理現象の本質を見極める力の習得を特に重視しています。例えば、演習では難解な問題を多数扱いますが、その多くは丁寧に解きほぐすとベーシックな内容の組み合わせへと帰着し、複雑な物理現象も基礎理論の積み重ねから見通しよく理解できることを実感できます。また、授業では一つ一つの概念の紹介に留まらず、そこから有機的に繋がった物理学の広がりや普遍性について頻繁に議論されます。ある現象がどのような描像で理解できるか、またその物理的本質は何かなど、数式から一歩引いた視点での思考を鍛えます。
カリキュラム
具体的なカリキュラムでは、学部2年次から3年次にかけて、物理の基礎理論にどっぷりと浸ります。量子力学や統計力学、固体物理、量子情報などの幅広い分野を学び、現代物理の全体像を俯瞰しつつ、実験や演習を通して未知の問題に立ち向かうために必要な足腰を鍛えます。また、計数工学科との合同授業もあり、情報理論やトポロジーなど、物理と密接な繋がりがある数学に多く触れられることも魅力の一つです。
4年次は研究室に配属され、いよいよ研究が始まります。卒業研究は実験系の研究室で行われ、最先端の実験設備を総動員して未知の物理に挑みます。また、希望すれば理論研究に取り組める輪講授業もあり、理論解析や数値計算からのアプローチも経験できます。
物理工学科に来て良かったこと
物理工学科には和気あいあいとした温かい雰囲気があり、学科内の交流が非常に盛んです。授業の合間に質問し合う時間や、演習問題について議論する時間、有志で空きコマに進んだ内容の自主ゼミをする時間など、熱意溢れる同期たちとの関わり全てが価値ある学びとなり、深い理解への助けとなりました。また、先生方はどんなことにも親身になってご指導くださり、道しるべとして研究者のあるべき姿を示してくださいます。
未知の物理を開拓するため、皆で支え、励まし、刺激し合いながら日々邁進できたことは、かけがえのない貴重な経験でした。

進学選択を控えているみなさんへ

進学選択は学部生活の大きな節目であり、私自身悩みに悩んだことを思い出します。当時、私は物理や数学、情報がやりたいとぼんやり考えており、関連学科を重点的に調べていました。学科のホームページや冊子を読み込み、カリキュラムの違いには詳しくなった一方で、肝心の「自分がやりたいこと」の解像度は一向に高まりませんでした。各学科の研究はどれも魅力的に映ったのですが、各分野の具体的な研究内容に対する自分の興味や適性を正確に見極められるほどの知識や経験はなく、目の前の選択肢を一つに絞りきる勇気が出ないまま時間だけが過ぎていきました。

「世界を変えるアイデアはあるか」。物理工学科のガイダンスブックに書かれたこの言葉との出合いが大きな転機になりました。具体的に何を研究したいかは決めきれなくても、世界を変える新しい何かに挑戦してみたい、挑戦できるような環境に身をおきたいのだと、そのとき初めて認識できたのです。物理工学科は、「物性理論・計算物理」「先端物質創成」「量子物性」「光科学・量子情報・量子計測」の全ての研究分野で、次々と革新的ブレイクスルーを起こし続けています。物理現象を基礎として実社会を変革する物理工学の可能性、また、その最高峰であるからこそのチャンスと勢いに惹かれ、物理工学科への進学を決意しました。
それからの学科生活では、学びを深めるにつれ徐々に自分がやりたいことが明確になり、現在は物性物理と情報理論の境界領域を非平衡ダイナミクスや機械学習的観点から理論的に研究しています。いつかほんの少しでも、この研究で世界をより良くできたらと思っています。
物理が好きで、物理を使って世界を変えたいと夢見ている方は、ぜひ物理工学科にいらしてください。基礎物理と応用工学が最高レベルで交差するこの学科で、皆さんと一緒に新たな物理を切り拓くことを楽しみにしています。