物理工学科で学べること
物理工学科は物性物理学と量子情報に関する研究室が豊富にある、物性物理学全般を学ぶことができる学科です。
物理工学科の研究領域は社会的な需要が非常に高く、そして魅力溢れる野心的な研究内容が多くあります。例えば、超伝導に関する研究はエネルギーロスの少ない社会の実現に向けて常に注目を浴びており、物性の領域ではトポロジーの考え方を超伝導体に応用するトポロジカル超伝導体が脚光を浴びています。また量子情報技術は既存のテクノロジーとは一線を画す革新的な技術になると考えられています。2021年には「量子技術による新産業創出協議会」が民間企業から発足するなど、今後産業の中心分野になっていくことは間違いありません。
これらの分野の基礎研究ができるのが物理工学科です。
学生目線で見た物理工学科の特徴
- カリキュラム
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学ぶ内容は4年生で取り組む卒業研究を見据えたものになります。まず2-3年生で学ぶ必須科目のほとんどが基礎数学・基礎物理です。工学部でありながら、コンパクトに理論からしっかりと学ぶことができるのが特徴です。計数工学科と合同の授業も多く、技術として取り入れることの多い数学を物理と並行して勉強できます。学んでいる間の実感は薄いかもしれませんが、着実に研究に取り組むための実力を身につけることができます。
- 価値ある人間関係
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物理工学科で関わる人は大きく自分を成長させてくれます。まず自分のやりたいことに向けて真摯に取り組む優秀な同期がたくさんいます。授業で常に顔を合わせる同期が良い刺激になり、問題を解いている中でわからないことや疑問に対して一緒に考えることができる人がいるというのは大変な魅力だと思います。
そして指導に当たってくださる教員も、学生を一人前にするために寄り添って下さることを強く実感しています。小さな質問に対しても適切な考え方や調べ方も含めて多くを授けてもらいました。これは日々のレポート課題、そして卒業研究で強く実感することになるでしょう。
- 卒業研究
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4年生になると、物理工学科では1人1テーマ、かつ最先端の内容の卒業研究に取り組みます。私も磁性体におけるスピンダイナミクスのイメージングに取り組みました。
コロナウイルスの影響もあり、最初はリモートで数値計算を通じた実験をしながら、より専門性を高めた勉強をしていきました。実験はたくさんの失敗があり何度もアプローチを変えて挑戦しながらデータを集めました。指導にあたっていただいた教授と助教の方に幾度も議論とサポートをいただき、最終的には実験結果と結果の説明を用意することができました。
挑戦し、失敗を重ね、議論を尽くした先に新しい物理を生み出していくこの体験は物理工学科でしか得られない経験だと思います。
- 物理工学科にきてよかったこと
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今思えば、この学科で学んだこと全てが私のかけがえのない財産となっています。自然界と対話し、新たなイノベーションを生み出していく物理工学の考え方はどのような分野でも応用できるプロセスになっていると思います。そして卒業研究に取り組んだことで、自分が考えていること、研究のチャームポイントを如何にして伝えるかを学びました。
自分の中で深く考えること、他者とコミュニケーションを取ること、この両方のスキルを最大限伸ばしてくれる環境が物理工学科の良さだと思います。
進路を考えている新2年生へのメッセージ
進学選択が一つの節目であることは間違いありません。ここから先の2年半は決して短い期間ではないので、迷いがある場合には情報を集め、自らの目で確かめるのが良いと思います。確かに進学選択の段階では、本当にその学科を選んでよかったのか、周りのレベルについていけるのか、など様々な不安がよぎることと思います。本当に良い選択だったかどうかなんてものは後になってみないとわからないので、どんな選択であれその中でやれる限りのことをやってみるというのもとても大切だと思います。自身の興味関心を見つめ直して、臆さずに学科を選んでいただけたらと思います。
物理工学科は真摯に努力する人間を最大限伸ばそうとしてくれる学科です。物理に興味があって、人生の一部をその勉強に充ててみようかなと考えている人は自信を持って選択していただけたら嬉しい限りです。