物理工学輪講第二
7月9日
[注意事項]
輪講第二の「題目」・「要旨」は発表の1週間前までに office[at]ap.t.u-tokyo.ac.jp 宛てに送付して下さい。
発表日
2024年7月9日(火)14:55〜16:55

Aグループ

発表者名 中嶋 陽太
指導教員名 川﨑 雅司 教授
論文題目 酸化物薄膜界面における創発磁気輸送現象
要旨 非共面スピン構造による創発磁場はBerry位相として電子の位相に影響し、トポロジカルホール効果としてパイロクロア型酸化物やスキルミオンなどにおいて観測される。本研究では磁気近接効果にヒントを得て、薄膜の界面において創発磁場が伝播する現象について考察する。電子の伝導を担う金属の層と、磁性体の層に機能を分離して創発磁場の中を電子が運動する影響について調べるというものである。
発表者名 三木 孝馬
指導教員名 川﨑 雅司 教授
論文題目 シフト電流の特性とペロブスカイト型太陽電池
要旨 シフト電流は、量子幾何学位相の変化で生じる光電流で、バルク光起電力効果の主要な起源であることが近年明らかになってきた。本発表では、シフト電流に関する先行研究とともに、 新しい太陽電池材料として注目を集めているペロブスカイト型ハライドにおけるシフト電流の可能性について紹介する。
発表者名 阿久井 優輝
指導教員名 芝内 孝禎 教授/橋本 顕一郎 准教授
論文題目 Kitaev候補物質α-RuCl3におけるMajorana準粒子の探索
要旨 Kitaev模型は、厳密解として量子スピン液体を基底状態に持つ模型である。この模型はMajorana fermionによって記述され、スピンの分数化や、Majoranaギャップの外部磁場方向依存性といった特有の性質を持つ。本発表では、Kitaev候補物質α-RuCl3に対してこれらの現象を測定した論文を取り上げて、Majorana粒子の存在について検証する。

Bグループ

発表者名 池田 大輝
指導教員名 関 真一郎 准教授
論文題目 磁気Skyrmionの物質設計
要旨 磁気Skyrmionは,離散量であるSkyrmion数で特徴づけられるトポロジカルに保護された磁気構造である。Skyrmionは伝導電子にもたらす巨大な創発電磁場が基礎物理として興味深いだけでなく,Skyrmion自身が電流駆動可能なナノスケール粒子としての性質をもつことから高い情報密度をもつ磁気メモリへの応用可能性も秘めており,近年注目を集めている.創発電磁場の巨大化,情報密度の増大にはより直径の小さなSkyrmionが不可欠であり,本発表ではそうした物質を探索する指針を解説する.
発表者名 小椋 悠樹
指導教員名 関 真一郎 准教授
論文題目 ベリー曲率に由来する異常ホール効果
要旨 ホール効果は、ホール抵抗率が磁場に比例する正常ホール効果と磁化に比例する異常ホール効果の和で表されることが一般的に多いが、近年、磁場にも磁化にも依存しないタイプの異常ホール効果の存在が明らかになった。異常ホール効果の発現機構は外因性機構のほか、物質のバンド構造やベリー位相に関係する内因性機構が存在する。本発表では異常ホール効果が生じる機構とベリー位相の理論的な導入、大きなベリー曲率を生み出し異常ホール伝導率を大きくするバンド構造として知られるワイル点について解説する。