物理工学輪講第二
6月18日
[注意事項]
輪講第二の「題目」・「要旨」は発表の1週間前までに office[at]ap.t.u-tokyo.ac.jp 宛てに送付して下さい。
発表日
2024年6月18日(火)14:55〜16:55

Aグループ

発表者名 一李 建嬉
指導教員名 古澤 明 教授/遠藤 護 講師
論文題目 スクイーズドコヒーレント重ね合わせ状態の生成
要旨 光量子コンピュータが量子超越性を示すためには、非ガウス状態と呼ばれる量子状態を利用することが重要である。本発表では、非ガウス状態の1つであるスクイーズドコヒーレント重ね合わせ状態について、光子数基底での操作を用いて近似的に生成する方法を紹介し、生成された状態がどの程度よく近似されているか評価する。
発表者名 星野 佳嗣
指導教員名 古澤 明 教授/遠藤 護 講師
論文題目 スクイーズド光生成による量子ゆらぎの制御
要旨 光の直交位相振幅を測定する際には、測定精度に依存しないゆらぎ=量子ゆらぎが存在する。この量子ゆらぎによって測定精度は制限されてしまうが、不確定性原理を破らない範囲であれば、光のある特定の位相の振幅にゆらぎを押し付けることで、それに直交した位相の振幅のゆらぎを減らすことができる。この状態にある光をスクイーズド光と呼ぶ。本論文では、セミモノリシック型の共振器によるスクイーズド光源により、波長1550nmにおいてスクイージングレベル10dBを達成した。この内容について詳細を説明する。
発表者名 吉村 広夢
指導教員名 古澤 明 教授/遠藤 護 講師
論文題目 モード調整可能なコヒーレント単一光子引き去りにおける引き去り行列のトモグラフィー
要旨 光を用いた量子情報処理において、古典的な情報処理能力を凌駕するためには、光子の生成・消滅などの3次以上の非線形光学過程を表す非ガウス型操作が必要である。特に単一光子の引き去りに関しては、ビームスプリッターによって非ガウス型操作は実装されてきた。本発表では、従来型のビームスプリッターによるものではなく、和周波発生という手法を用いて単一光子引き去り装置を実装し、その性能をトモグラフィーによって評価した論文を紹介する。

Bグループ

発表者名 石田 圭輝
指導教員名 塚﨑 敦 教授
論文題目 カゴメ格子強磁性体における量子異常ホール効果
要旨 ゼロ磁場で散逸なく電流が流れる量子異常ホール効果をより高温で観測することは超低消費電力エレクトロニクス素子の実現に繋がる重要な課題である。本発表では、強磁性状態にある結晶中の原子が籠の目状に配列したカゴメ格子における量子異常ホール効果について説明し、実際に観測するための候補物質としてCo原子がカゴメ格子上に配列した層の積層構造を有するCo3Sn2S2の研究を紹介する。
発表者名 牛尾 誠
指導教員名 塚﨑 敦 教授
論文題目 Siliceneを用いたFETの提案
要旨 シリコンを超える半導体デバイスの探求の一つとして、二次元半導体およびそれらを用いたデバイスの開拓研究が近年盛んに行われている。本発表では、まずトランジスタに求められる特性について紹介しつつ、二次元半導体の一種でシリコン原子が二次元のハニカム格子構造に配列したシリセンに注目してその研究の流れを概観する。その後、シリセン研究を行う上での課題点を解説しながら、シリセンを用いたトランジスタ作製に初めて成功した論文を紹介する。
発表者名 西田 大晟
指導教員名 塚﨑 敦 教授
論文題目 Nb/Ta/V超格子を用いた超伝導ダイオード効果の観測
要旨 系の反転対称性の破れによって引き起こされる非相反電気伝導現象は、半導体のダイオードに代表される電気素子として応用されている。近年では、空間反転対称性の破れた界面において、磁気的応答や超伝導現象における非相反伝導現象の研究が盛んに行われている。本発表では、人工的に3種を積層することで空間反転対称性を破るように合成されたNb/Ta/V超格子で観測された超伝導ダイオード効果について紹介する。この実験では、超伝導の臨界電流が界面電場と外部磁場の外積方向に依存して異方的に振る舞うことから、超伝導電流の制御が報告されており、非相反効果の起源と合わせて紹介する。