物理工学輪講第二
6月4日
[注意事項]
輪講第二の「題目」・「要旨」は発表の1週間前までに office[at]ap.t.u-tokyo.ac.jp 宛てに送付して下さい。
発表日
2024年6月4日(火)14:55〜16:55

Aグループ

発表者名 笠島 大嘉
指導教員名 有馬 孝尚 教授/徳永 祐介 准教授
論文題目 鉄希土類酸化物における電界誘起強磁性モーメントの発生と反転
要旨 強磁性体と強誘電体の2つの性質を持つマルチフェロイック物質は低消費電力のメモリデバイスの候補として注目されている。本発表では、Dy0.75Gd0.25FeO3とDy0.70Tb0.30FeO3の結晶によって外部磁場をかけずに電場だけで磁化の向きの反転に成功した初めての事例を紹介する。
発表者名 飽田 陽音
指導教員名 有馬 孝尚 教授/徳永 祐介 准教授
論文題目 マルチフェロイクス現象の逆DM相互作用による理解
要旨 マルチフェロイクスとは磁気秩序と電気分極が結びついた現象のことである。この現象をミクロな視点から統一的に説明するために、スピン配列によって分極が生じる機構が提唱され、これは逆Dzyaloshinskii-Moriya(DM)相互作用と呼ばれている。この理論によってマルチフェロイクス現象が理解されているいくつかの物質について紹介する。
発表者名 千石 竣介
指導教員名 有馬 孝尚 教授/徳永 祐介 准教授
論文題目 パイロクロア格子でのアンダーソン条件を保った電荷秩序の実現
要旨 正四面体同士が頂点を共有し合った構造であるパイロクロア格子上の格子点上での電荷が偏る電荷秩序が生じる場合に、全ての正四面体の電荷量が等しくなる電気的中性条件がアンダーソン条件と呼ばれ提唱されていたが現実の物質においてはこの条件を満たす電荷秩序を持つ物質は長らく見つかっていなかった。本発表はCsW2O6において初めて見つかったアンダーソン条件を満たす電荷秩序について紹介する。

Bグループ

発表者名 中田 優太郎
指導教員名 香取 秀俊 教授/牛島 一朗 講師
論文題目 光共振器を用いた原子数測定と自然幅の決定
要旨 光格子時計の安定化のためには原子の励起率を精密に測定することが必要である。本発表では光共振器中にトラップされたSr原子とプローブ光との相互作用を用いることで、時計遷移の励起率を非破壊的に直接測定する手法を紹介する。また、同様の手法を用いた時計遷移の自然幅の決定方法についても併せて紹介する。
発表者名 羅 偲予
指導教員名 香取 秀俊 教授/牛島 一朗 講師
論文題目 Free-space dissemination of time and frequency
要旨 光時計の精度は周波数相対不確かさ10の-18乗に到達し、「秒」の再定義や相対論の検証などへの応用が可能になった。応用の幅を広げるためには、時計の不確かさよりも小さい誤差で周波数を遠隔地に伝送する技術が必要になる。従来は光ファイバーを用いた伝送が使われるが、将来的に衛星間や衛星地上間といった長いスケールでの通信を考えると自由空間を用いた伝送が不可避となる。本研究では、地上において113kmの自由空間伝送を行い、10000秒の積算時間で4x10の-19乗の相対不確かさを達成した。Linear Optical Sampling, two-way transferなどの技術がこの達成に際して肝要となった。
発表者名 平田 慎一郎
指導教員名 高橋 陽太郎 准教授
論文題目 マルチフェロイクスにおけるエレクトロマグノンと電気磁気効果
要旨 マルチフェロイクスとは、強誘電性と強磁性を合わせもった物質であり磁気秩序由来の強誘電性を持つ。本発表ではマルチフェロイクスが示す代表的な性質である電気磁気効果について説明し、マルチフェロイクスに特有なスピン励起であるエレクトロマグノンが示す性質を紹介する。