物理工学輪講第二
5月28日
[注意事項]
輪講第二の「題目」・「要旨」は発表の1週間前までに office[at]ap.t.u-tokyo.ac.jp 宛てに送付して下さい。
発表日
2024年5月28日(火)14:55〜16:55

Aグループ

発表者名 大岡 真太郎
指導教員名 武田 俊太郎 准教授
論文題目 量子特徴量を用いた量子機械学習手法の提案
要旨 量子情報分野の研究では大規模な汎用量子コンピュータの実現を目標とする一方で、現状でも手に入る小規模のものの応用可能性が模索されている。応用先の1つが量子機械学習であり、この分野は今回紹介する論文が提案した「量子特徴量」という画期的な概念により研究が活発になっている。量子特徴量とは従来の機械学習のうち特に分類問題で用いられる「特徴量」という概念を量子に拡張したものである。今回の発表では、量子特徴量を用いて分類問題を解決する手法を2つ紹介する。
発表者名 宮﨑 大輝
指導教員名 武田 俊太郎 准教授
論文題目 時間波形を制御可能で高純粋度な単一光子の生成
要旨 光子は時間波形という、時間に対する存在確率の変化を表す自由度を持つ。時間波形を任意に制御でき、かつ純粋な光子を生成できるようになると、時間波形を用いた量子コンピュータなど様々な応用が可能になる。光子の生成では、非線形光学結晶を用いて光子対を生成する、パラメトリック下方変換(PDC)という現象がよく用いられる。本発表では、波形整形されたパルス光を用いてPDCを起こすことで、時間波形を制御可能かつ高純粋度な光子を生成する方法について紹介する。
発表者名 李 开新
指導教員名 武田 俊太郎 准教授
論文題目 遅延選択量子もつれ交換の実現
要旨 ある種の量子力学実験では、実験装置全体の構成によって質的に異なる結果が得られる。例えば、二重スリット実験では経路情報検出器の有無によって粒子が波動性を示すかどうかが決まる。遅延選択実験は、そのプロセスに途中で介入することで量子性の本質に迫ろうとする思考実験である。実験が扱う問題の根源的な性質ゆえに、遅延選択思考実験の完全な実現には特有の課題が存在する。遅延選択思考実験を取り巻く問題意識を解説し、実現の例として2012年の遅延選択量子もつれ交換実験を紹介する。

Bグループ

発表者名 大澤 優太
指導教員名 石坂 香子 教授
論文題目 単層WSe2におけるカイラルフォノンの観測
要旨 空間反転対称性を破るハニカム格子系では、カイラリティを持つフォノンとそれによる特徴的な物性が理論的に予測されてきた。本発表では、単層WSe2に二種類の円偏光を照射した際の応答からカイラルフォノンの存在を議論した論文について紹介する。
発表者名 林 隼介
指導教員名 石坂 香子 教授
論文題目 ローレンツ電子顕微鏡によるスキルミオンの電流駆動の観測
要旨 磁気スキルミオンは特徴的なトポロジーを持つ渦状のナノ磁気構造であり、その電流応答がメモリデバイスへの応用を念頭に研究されている。
本発表ではスキルミオンの電流駆動を直接観測する手法であるローレンツ電子顕微鏡と、それによる実際の研究例を紹介する。
発表者名 村松 春紀
指導教員名 石坂 香子 教授
論文題目 原子層WTe2の積層構造に依存した電子構造の観測
要旨 原子レベルで薄い二次元結晶では、バルク結晶とは異なる結晶構造の対称性が実現する。近年ではそれらを捻って積層することで、対称性を制御することも可能である。本発表では原子層WTe2において、第二次高調波発生と角度分解光電子分光を用いて積層構造に依存して結晶構造の非対称性が変化することを観測した論文を紹介する。