物理工学輪講第二
5月21日
[注意事項]
輪講第二の「題目」・「要旨」は発表の1週間前までに office[at]ap.t.u-tokyo.ac.jp 宛てに送付して下さい。
発表日
2024年5月21日(火)14:55〜16:55

Aグループ

発表者名 久我 英理
指導教員名 為ヶ井 強 准教授
論文題目 Theory of flux creep in hard superconductors
要旨 第二種超伝導体の内部には量子化磁束線が配列している。実際のサンプルでは構造欠陥の影響で磁束線はピン止めポテンシャル上の準安定状態にある。この準安定状態は熱揺動力によって時間の対数にリニアに緩和する. この現象を磁束クリープという。
発表者名 鐘 正揚
指導教員名 岡本 博 教授
論文題目 中赤外パルスを用いたサブサイクル分光法
要旨 超高速に生じる光誘起相転移を位相追跡しながら測定するために、サブサイクル分光法と呼ばれる技術は必要不可欠な手法である。紹介する1つ目の論文は、サブサイクル分光のために用いる、位相安定化された高強度な中赤外パルスの発生方法について研究した。2つ目の論文は、中赤外パルスを用いたサブサイクル分光法の実用例として、ダイヤモンドにおいてフォノンの二光子励起を実証した。
発表者名 鈴木 惠大
指導教員名 岡本 博 教授
論文題目 気体と固体における高次高調波発生
要旨 高強度のフェムト秒レーザーを原子ガスに照射すると、高次の整数倍の周波数をもつ光に変換される高次高調波発生(HHG)が観測される。HHGは高強度の光電場によって駆動された電子の運動に基づく非摂動論的な非線形光学現象である。これまでのHHGの研究は原子ガスを対象としてきたが、近年では半導体をはじめとする固体を対象に盛んに研究されている。固体中の電子はブロッホ電子として運動するため、気体のHHGとは異なる発生メカニズムやスペクトルの特徴が現れると期待されている。

Bグループ

発表者名 坂下 直輝
指導教員名 長谷川 達生 教授
論文題目 有機トランジスタの高度化と新機能探索
要旨 有機トランジスタは、軽量・フレキシブルな半導体デバイスを低コスト・低環境負荷の塗布法により製造が可能になると期待されている。その性能はこれまで、無機系と比べ劣ることが課題であったが、近年その性能が著しく向上してきた。本発表では、高撥液素材をゲート絶縁層とすることで、クリーンな半導体/絶縁体界面を形成し、理論限界に迫るスイッチング性能を示す有機トランジスタの作製に成功した論文を紹介する。
発表者名 馬場 雄大
指導教員名 長谷川 達生 教授
論文題目 電界効果型トランジスタによる力覚センサーの開発
要旨 優れた感度と柔軟性を持つ力覚センサーは、デジタル社会に必要な基本デバイスとして開発が期待されている。その高度化には、圧電体と電界効果型トランジスタ(FET)を統合した力覚センサーの開発が有効である。本発表では、他のFETと比べてキャリア移動度が高いことが知られるグラフェン電界効果型トランジスタ(GFET)を用い、より高感度で耐久性に優れ、安定性のある力覚センサーを開発した研究について紹介する。
発表者名 三好 真生
指導教員名 長谷川 達生 教授
論文題目 層状有機半導体における結晶構造予測の実現
要旨 化合物を実際に合成する前に結晶構造を予測することにより、物性の高度化や新物質の発見を効率的にできると期待されている。近年、密度汎関数理論を用いた計算手法によってコンピューター上で結晶構造を予測する試みが盛んに検討されている。本発表では、高性能な層状有機半導体の結晶構造を事前に正しく予測する手法の開発を目指し、アルキル置換BTBT系有機半導体を対象材料とし、アルキル置換による層状性の増強など、分子配列構造の起源を詳細に検討した論文を紹介する。