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談話会・セミナー

第9回「物質科学セミナーin柏」(講師:山地 洋平 氏)


日 時:  2013年6月28日(金)17:00~
場 所: 新領域基盤棟2階 基盤棟共通セミナー室
講 師: 山地 洋平 氏(物理工学専攻)
題 目: パイロクロア格子上ゼロギャップ半導体におけるワイル電子の対消滅と磁壁状態の形成

概 要:
グラフェンやトポロジカル絶縁体の実現以降、結晶格子表面や内部に実現するディラック電子の物理について、実験理論の両面から活発な研究が行われている。とくにパイロクロア格子を形成するイリジウム酸化物R_2Ir_2O_7 (Rは希土類原子)のall-in/all-out反強磁性相において理論的に予言された有効質量0のワイル電子は、摂動に強く、フェルミ・アークと呼ばれる特異な表面状態を示すことで注目を集めている。
ところがワイル電子は摂動に強い一方で対消滅し易く、実験的にも理論的にもその実現には物質パラメータのファイン・チューニングが必要であった。
本セミナーでは、たとえワイル電子の対消滅が起こったとしても、その痕跡がall-in/all-out反強磁性絶縁相内の磁壁に局在した安定なギャップ内状態として残り、それと同時に磁壁に垂直な一様磁化を生じることを紹介する。
また、背後にポリアセチレンのソリトンと共通する物理があること、磁壁状態とR_2Ir_2O_7において観測されている異常な伝導および弱強磁性との関係についても議論する。
問い合わせ先:有馬孝尚教授