第8回「物質科学セミナーin柏」(講師:磯野 貴之 氏)
日 時: | 2013年5月31日(金)17:00~ |
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場 所: | 新領域基盤棟2階 基盤棟共通セミナー室 |
講 師: | 磯野 貴之 氏(物性研) |
題 目: | 有機三角格子系κ-H3(Cat-EDT-TTF)2における量子スピン液体の発見 |
概 要:
量子スピン液体は、量子揺らぎの効果により絶対零度でさえ磁気秩序が現れない新奇な量子相として注目されている。しかしながら、通常のスピン系は交換相互作用のエネルギースケールより低温において磁気秩序化してしまうため、これまでに量子スピン液体状態を実験的に実現した例は、いくつかのスピンフラストレート格子に限られている。その中において、ある種の分子性物質は、異方的三角格子の各サイト上にS = 1/2スピンが配列した構造をとるため、量子スピン液体の探索に適した系であるといえる。実際、これまでに2つの物質が発見され、精力的な研究がなされている。
セミナーでは、まずそれら2物質の導入をし、次に最近見つかった有機スピン-1/2三角格子κ-H3(Cat-EDT-TTF)2における量子スピン液体状態について示す。最後に、分子性物質の量子スピン液体状態における磁気的性質を比較して、議論する。
問い合わせ先:有馬孝尚