第2回 物理工学科教室談話会(講師:紙屋 佳知 氏)
日 時: | 2013年4月25日(木)14:00~15:30 |
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場 所: | 工学部6号館1回103号室(大会議室) |
講 師: | 紙屋 佳知 氏(ロスアラモス国立研究所) |
題 目: | フラストレーションのあるモット絶縁体における磁気渦結晶 |
概要:
スカーミオン結晶などのトポロジカルなスピン構造が次世代スピントロニクスの基本素子として大きな注目を集めている[1-7]。これは当初金属(MnSi、Fe$_{1-x}$Co$_x$Si、FeGe)においてスカーミオン結晶が発見されたことにはじまる。最近では絶縁体Cu$_2$OSeO$_3$においても見つかり[5]、エネルギー散逸の少ないスカーミオン操作技術の開発に大きな期待が持たれている。上の物質ではジャロシンスキー・守谷相互作用と強磁性相互作用の競合が重要であるが、本講演では、フラストレート磁性体を用いてトポロジカルなスピン構造を実現する別のメカニズムを提案する[8]。我々のメカニズムの長所は、結晶化した渦構造の超格子パラメタがフラストレートした超交換相互作用の比によって決まり、したがって圧力により比較的容易に調整できる点にある。具体的には、フラストレート量子磁性体Ba$_3$Mn$_2$O$_8$[9]のモデルを磁場誘起の量子臨界点近傍において議論する。ラダーダイアグラムを用いて縮退した最低エネルギー磁気励起モード間の相互作用を計算し、多重Q状態として実現される磁気渦結晶相を含む基底状態相図を示す。
References:
[1] S. Muhlbauer et al., Science 323, 915 (2009)
[2] W. Munzer et al., PRB 81, 041203 (2010)
[3] X. Z. Yu et al., Nature 465, 901 (2010)
[4] X. Z. Yu et al., Nat. Mater. 10, 106 (2011)
[5] S. Seki et al., Science 336, 198(2012)
[6] Y. Onose et al., PRL 109, 037603 (2012)
[7] T. Okubo, S. Chung, and H. Kawamura, PRL 108, 017206 (2012)
[8] Y. Kamiya and C. D. Batista, arXiv:1303.0012 (unpublished)
[9] M. Uchida et al., PRB 66, 054429 (2002)
紹介教員:今田教授、求准教授