第5回 理論グループ共通セミナー(講師:小松 輝久 氏)
日 時: | 2012年10月30日(火)16:30~ |
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場 所: | 工学部6号館3階セミナー室A/D |
講演者: | 小松 輝久 氏(伊藤研究室) |
題 目: | 「非平衡定常状態における定常分布の表現と操作的熱力学」 |
概要: 熱流や外場により駆動された非平衡定常状態における系の微視的状態の定常分布について、以前、我々が得た結果を紹介します。この研究によって得られた表式は、平衡系におけるボルツマン因子の非平衡定常状態への拡張と見ることが出来ます。結果の表式は、時間無限大で発散する定常的なエントロピー生成の寄与の成分を、うまくキャンセルして残る”過剰エントロピー生成”の軌道アンサンブルによって表現されています。
講演の前半においては、本研究に至るまでに行なった熱ラチェット系の方向選択の研究について紹介し、具体的なモデルの解析を通じて、過剰熱流の観測が方向選択の現象論構築に有益であることを見ます。後半では、前述の分布表式を紹介し、この分布表式をヒントに、過剰熱測定によって操作的に定義されるエントロピーを紹介します。