第1回　理論グループ共通セミナー　（講師：石坂香子 准教授）

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Abstract：
東大物性研究所において近年行ってきた光電子分光の実験結果を紹介する。主にルテニウム酸化物などの多バンド強相関電子系で観測された低エネルギー電子構 造について紹介する。質量増大やメタ磁性など「量子臨界点近傍の異常金属」的な振舞を示すルテニウム酸化物においては、フェルミ準位近傍で数meVのエネ ルギースケールを持つ特異的に平坦なバンド分散が観測された。この低エネルギー電子構造は波数空間の位置およびバンド（軌道）に強く依存しており、電子有 効質量の強い異方性として現れる。この異常な電子構造について、輸送・磁気・熱特性との対応や幾つかの理論的シナリオの観点から議論する。後半では時間分 解光電子分光の実験結果を紹介する。この手法では、強い光照射に対する電子構造の過渡応答を観ることで、基底状態/平衡状態の時間平均観測では判らない情 報を得られる可能性がある。実験はまだ進行途中であるが、高温超伝導体やCDW物質などにおける結果を幾つか紹介する。